エンジニアのキャリアパスは2つの面において難しさを抱えています。まずエンジニアの役割そのものが多様化していること、2つ目はIT業界全体が目まぐるしく変化していることです。

自分がエンジニアになったときに、「将来なりたい」と思っていた仕事が業界の変化とともない需要が失われてしまうこともあり、逆にエンジニアになったときには、存在しなかった職種が新たに生まれることもあります。セキュリティエンジニアやIoTエンジニアなどは比較的新しい職種のため、数年前にはキャリアパスの選択肢になることはあまりありませんでした。

一方で、ビジネスシーンだけでなく社会全体でIT化が推進されていることで、エンジニアが活躍する場が広がっている面もあります。こちらは働く現場が多様化していることで5年前、10年前には想像できなかった状況になっているのです。官公庁や医療・福祉の分野でIT関連の人材が求められている状況はその典型的な例と言えるでしょう。

こうした状況からエンジニアのキャリアパスは流動的で、状況に合わせて修正・変更できる柔軟性が必要といえます。自分がなりたい職種の需要がなくなってしまったとき、あるいは自分がやりたいと思えるような新しい活躍の場が生まれたときにすぐに修正できる柔軟性です。

一方では自分がエンジニアとしてどんなスキルを身に着けていきたいのかをできるだけはっきりと決めておくことも重要です。例えば将来マネジメントをしたい、あるいは特定の分野でのスペシャリストになりたい、さらにはフリーランスで活躍したいなど、それぞれの目標に合わせたスキルの習達が求められます。就職先、活躍の場については柔軟に、自分のエンジニアとしての立ち位置はできるだけ具体的に、これがキャリアパスの原則となるでしょう。